不完全なままで、生きていく

「もっとちゃんとしなければ」

「こんな自分ではダメだ」

「もっと強くならなければ」

そんなふうに、自分を変えようとしてきたことはないでしょうか。

わたしたちはいつの間にか、

今の自分では足りない

と思いながら生きています。

でも最近、わたしは思います。

人生とは、完全な自分になっていく旅ではなく、

自分の不完全さと一緒に生きられるようになっていく旅

なのかもしれない、と。

目次

不完全な自分で、すでに完全なのかもしれない

「わたしたちは、もともと完全な存在だ」

そんな言葉があります。

でも、人間として生きていれば、

できないこともある。

苦手なこともある。

弱いところもある。

失敗もする。

誰かに迷惑をかけることだってあります。

それなのに「完全な存在」と言われると、

なんだか矛盾しているように聞こえます。

でも、

不完全であることまで含めて、完全なのだ

としたらどうでしょう。

できないことがあるから、人に頼ることができる。

誰かにできないことを補ってもらうこともある。

そして自分にできることで、誰かを助けることもある。

一人ですべてできないから、

人と人との間に関係が生まれる。

「できない」ということも、

必ずしも欠陥ではないのかもしれません。

いつから「ちゃんとした人」になろうとしたのだろう

子どもの頃から、

「強い子になりなさい」

「ちゃんとしなさい」

「迷惑をかけてはいけません」

「いい子でいなさい」

そんな言葉を聞きながら育った人もいると思います。

もちろん、それらの言葉が悪いわけではありません。

きっと言った側にも、その人なりの願いや事情があったのでしょう。

でも、それを繰り返し聞くうちに、

できない自分ではいけない。

人に迷惑をかける自分ではいけない。

弱いところを見せてはいけない。

そんなふうに身体が覚えていくことがあります。

すると、自分を守るために少しずつ鎧を身につけていく。

強く見せる。

平気なふりをする。

本当は疲れているのに「大丈夫」と言う。

助けてほしいのに、一人でやろうとする。

そうやって生きているうちに、

鎧を着ていることすら分からなくなることがあります。

鎧を無理に脱がなくてもいい

以前のわたしなら、

「その鎧を脱ぎましょう」

と言っていたかもしれません。

でも今は、

無理に脱がなくてもいい

と思っています。

その鎧は、必要だったから身につけたものかもしれない。

強くいなければならない時期があったのかもしれない。

誰にも頼れなかったのかもしれない。

本音を言わないことで、自分を守ってきたのかもしれない。

だったら、

「こんな鎧はいらない」

と否定する必要もありません。

ただ、

あぁ、わたしはこんなふうに自分を守ってきたんだな

と気づいてみる。

それだけでもいい。

「ダメな自分を受け入れよう」

と頑張る必要もないと思っています。

嫌いなところがあってもいい。

「ここはもう少しどうにかしたいな」

と思うところがあってもいい。

変わりたいと思ってもいい。

変わりたくないと思ってもいい。

大切なのは、

今の自分を否定して、別の何かにならなければ生きていけないと思わないこと。

なのかもしれません。

誰かに頼ることも、人間の身体の営み

一人でできないことがある。

誰かに助けてもらう。

誰かに頼る。

それを「弱さ」と呼ぶこともできます。

でも、人間はそもそも一人だけで生きるようにはできていません。

食べるものも、

着ている服も、

住んでいる家も、

自分一人でつくったものではありません。

すでにたくさんの人や自然に支えられて生きています。

そう考えると、

「誰にも迷惑をかけず、一人でちゃんと生きる」

というほうが、むしろ不自然なのかもしれません。

頼る。

頼られる。

助ける。

助けられる。

そうやって人は生きています。

不完全さをなくした先に、自分がいるわけではない

もっと強くなったら。

もっと自信がついたら。

もっと心が整ったら。

もっと人に優しくできるようになったら。

その先に「本当の自分」が待っているような気がすることがあります。

でも、

その途中にいる今の自分も、

ちゃんと自分です。

できないことがある身体。

疲れる身体。

怖がる身体。

誰かに頼りたくなる身体。

ときには間違える身体。

そんな身体のまま、

今日も生きている。

不完全さを克服して完全になるのではなく、

不完全さまで含めた自分と一緒に生きていく。

人生とは、もしかするとそんな旅なのかもしれません。

そしていつか、

ずっと直そうとしていた自分を見て、

「このままでも、生きていけたんだな」

と気づく日が来るのかもしれません。

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