「許す」と「許さない」の間にあるもの

例えば、記事で

「人を許すことは大切です」

と書いたとします。

そして別の日に、

「許さなくてもいい」

と書いたとします。

一見すると、

「前と言っていることが違うじゃないか」

と思うかもしれません。

でも、わたしはこの二つが必ずしも矛盾しているとは思いません。

ある人には、

「もう許してもいいんじゃない?」

という言葉が必要なことがある。

別の人には、

「無理に許さなくていいよ」

という言葉が必要なこともある。

同じ人であっても、昨日と今日では必要な言葉が違うかもしれない。

だから、

「許す」と「許さない」のどちらが正しいのか

という問いだけでは、見えなくなるものがあると思うのです。

目次

言葉は、状況によって意味が変わる

たとえば、

「頑張らなくていいよ」

という言葉。

頑張りすぎて身体も心も疲れ切っている人には、とても大切な言葉になるかもしれません。

でも、

「頑張らなくていい」

という言葉がいつでも誰にでも必要なわけではありません。

今日は少しやってみようかな。

もう一歩だけ進んでみようかな。

そんなときには、

「やってみたら?」

という言葉のほうが、その人を後押しすることもあります。

言葉そのものに絶対的な正解があるのではなく、

誰が、どんなときに、その言葉と出会うのか。

そこまで含めて、言葉なのだと思います。

「許す」ことも同じ

わたしは以前、「許す」ということをとても大切にしていました。

今も、許すことで楽になることはあると思っています。

でも今は、

許さなくてもいいこともある

と思っています。

傷ついたばかりなのに、

「許さなければ」

と思わなくてもいい。

許せない自分を、

「まだ未熟だから」

と責めなくてもいい。

距離を取ったほうがいい相手もいます。

「それは嫌です」

と言ったほうがいいこともあります。

そして、いつか自然に、

「もういいかな」

と思える日が来るかもしれない。

来ないかもしれない。

それも含めて、その人の今なのだと思います。

白と黒の間には、たくさんの色がある

わたしたちはつい、

正しい/間違っている。

良い/悪い。

許す/許さない。

頑張る/頑張らない。

そんなふうに二つに分けて考えます。

二つに分けること自体が悪いわけではありません。

分けることで、物事が理解しやすくなることもあります。

でも、

その二つだけが世界のすべてではない。

白と黒の間には、たくさんのグレーがある。

0と100の間には、1から99までがある。

○と×の間には、△もある。

そして実際の世界は、もしかするとそれよりずっと細かく、複雑なのかもしれません。

答えを決める前に、今ここを見る

「こういうときは、どうすればいいですか?」

と聞かれることがあります。

そんなとき、

「こうすれば正解です」

と答えられたら簡単です。

でも、人はそれぞれ違います。

身体も違う。

経験も違う。

置かれている環境も違う。

同じ人でも、その日の身体の状態によって必要なものが変わることがあります。

だからわたしは、

正解を探すことより、今ここで何が起きているのかを見ること

を大切にしたいと思っています。

頭の中にある「こうするべき」に、目の前の自分や相手を当てはめるのではなく、

今、この人はどんな感じなんだろう。

今、わたしの身体は何を感じているんだろう。

そこから見ていく。

すると、昨日とは違う答えが出てきても不思議ではありません。

矛盾していてもいい

人間って、たぶん矛盾しています。

一人になりたいのに、誰かにいてほしい。

変わりたいのに、変わりたくない。

許したいのに、許せない。

頑張りたいのに、休みたい。

どちらかを消して、一つに決めなくてもいいのかもしれません。

両方ある。

その間を揺れながら生きている。

以前は、その曖昧なところを「グレー」と表現していました。

白と黒の間にグレーがあるというより、

白も黒も、その間にある無数の色も、全部つながって一つの世界をつくっている

ように感じています。

分けることで見える世界もある。

つなげて見ることで見える世界もある。

どちらか一方を正しいとする必要もない。

だから、

昨日言っていたことと今日言っていることが違ってもいい。

昨日の自分と今日の自分が違ってもいい。

その時、その場所、その身体で感じながら、

また見ていけばいい。

世界はきっと、

○か×かで答えられるほど、単純にはできていない。

だからこそ、面白いのだと思います。

この記事が気に入ったら
いいね または フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次